第五の基軸通貨「人民元」

 

国際的な企業間決済において、人民元の決済での地位が向上している。

——国際銀行間通信協会(SWIFT)が発表したデータでは、20年6月、金額の統計に基づくグローバル決済通貨ランキングで、人民元は5位に躍進し、シェアは1.76%だった。中国企業が受け取る通貨を人民元で決済する場面が増加している。

人民元の国際化プロセスについて、中国人民銀行(中央銀行)が発表した「2020年人民元国際化報告」では、人民銀行が対外貿易企業を対象に行ったアンケート調査によると、2019年第4四半期の時点で、回答した企業の84.6%が、「人民元を対外的な収支決済で利用する主要通貨に選ぶ」と答えた。大手企業ほど人民元を対外貿易と投資の決済に利用する傾向があり、その割合は89%に達した。また人民元クロスボーダー決済業務を展開する企業のうち、海外の投資企業と香港・澳門(マカオ)・台湾地区の投資企業の割合が高く、それぞれ88%と89%に達した。

決済のプロセスが簡便化されたこと、決済コストが下がったこと、企業の財務計算と資金管理が便利になったことも、企業が人民元クロスボーダー業務の展開を選択した主な要因とされている。企業が人民元決済を選択する背景には、人民元の国際経済と国際貿易を支える力が強まったことが理由とされる。

国境を越えた利用の増加——昨年一年間、銀行が顧客に代わって行う対外的な資金の受け取り・支払いは合計19兆6700億元に達し、前年同期比24.1%増加し、前年の高度成長を基礎としてさらに急増傾向を維持し、受け取り・支払い額は過去最高を更新した。

準備通貨のシェアが上昇——人民元は国際通貨基金(IMF)加盟国の保有する外貨準備高の通貨別構成で5位になり、市場シェアは1.95%で、16年に人民元が特別引出権(SDR)を構成する通貨バスケットに組み込まれたばかりの時より0.88ポイント上昇した。大まかな統計によれば、現在、世界の70の中央銀行または通貨当局が人民元を外貨準備に組み込んだという。

人民元は今、周辺通貨から準基軸通貨へ、地域レベルの国際化した通貨から世界的な国際化した通貨へ、支払いや決済に用いる通貨から計算通貨へ、投融資に用いる通貨へと躍進している段階にある。

【アフリカ市場における中国のしたたかな経済戦略】
アフリカのコンゴ共和国の首都に、中国とコンゴの合弁で設立された「中国コンゴアフリカ銀行」のオフィスビルがそびえ建つ。同行は人民元建て貿易決済・送金業務における人民元の普及を拡大させた。2015年に営業を開始した中国コンゴアフリカ銀行は中国農業銀行がアフリカに初めて設立した合弁銀行であり、大規模な現地の商業銀行がなかったコンゴの経済環境を一新したとされる。

ここ数年、中国とアフリカの経済貿易協力が絶えず増進し、人民元は中国・アフリカの貿易投資に利便性をもたらし、外貨準備構造の最適化、為替リスクの予防、金融システムを安定させるなどいくつかの優位性によって、人民元は、アフリカ諸国にますます重視されている。これまでに、中国の金融機関はアフリカに支店10数店を設立した。中国はザンビアとの間で人民元建て決済システムも構築し、モロッコなど4ヶ国とは通貨互換協定を結んだ。

2018年には中国・アフリカ間の貿易額が2042億ドル(約21兆6084億円)に達し、前年比20%増加し、中国は10年連続でアフリカにとって最大の貿易パートナーになった。中国・アフリカ貿易の急成長にともない、人民元以外での決済の割合も2015年の5%から18年は約12%に上昇した。

近い将来、人民元がより多くのアフリカ諸国で準備通貨となるといわれている。

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